老健での生活|施設をなかなか信用しない母

「施設なんて、どこも一緒や」——父が老健に入所した日から、母はずっとそう言い続けていました。リハビリ病院でつらい経験をした母は、新しい施設のこともなかなか信じられなかったのです。

けれど実際に面会を重ねてみると、この老健の対応は、これまでとはまるで違いました。この記事では、施設をなかなか信用できない母と、少しずつ「安心」に変わっていった私たち家族の面会記録を綴ります。「施設に預けて本当に大丈夫だろうか」と不安を抱える方の、ひとつの参考になればうれしいです。

老健での生活が始まった|付き添い入所と、不満げな母

老健入所の日は、妹が母に付き添ってくれました。翌日からは、母が一人で面会に行きます。

妹からの報告では、父は新しい環境にまだ慣れておらず、「ここはどこか?知ってる人が誰もおらん」と不安そうにしていたそうです。母は母で施設への不満があるようで、ちょっとしたことでも「ほら、施設なんかどこも一緒なんや」と、以前のリハビリ病院と同じだと決めつけて、父を早く連れて帰りたい様子でした。

面会で感じた、老健の手厚い介護

父の様子|新しい環境でも落ち着いていた

父が老健に入所してから3日後、私は帰省して面会に行きました。

環境の変化にどれくらい慣れているか心配でしたが、父は落ち着いて過ごしていて、看護師さんと楽しそうに会話までしていました。看護師さんやケアマネさんが父の様子を詳しく教えてくださったこともあり、施設や職員さんへの安心感が生まれ、「この老健に入ることができて本当によかった」と思えました。

3日で治ったオムツかぶれ|母に認めてほしかったこと

リハビリ病院にいたとき、父はオムツかぶれができていました。薬を塗るときに痛くて暴れると、「認知症の初期症状だ」と言われ、私が「短期間でいいので、清潔に保ってオムツかぶれを治してほしい」と看護師長にお願いしても、「うちは看護師一人で13人の患者をみていて、人が足りないのでできません」と断られてしまいました。

ところが老健では、丁寧なケアで日に日に良くなり、3日ほどで完治したのです。

私は母に、こう話しました。「オムツかぶれは、薬を塗るだけじゃダメなんよ。清潔にしないと。保育園でも同じ。リハビリ病院ではやってくれなかったけど、老健ではすぐ治ったやろ。ちゃんとやってくれるところなんよ。リハビリ病院とは違うんよ」

母は何も言い返しませんでしたが、まだ納得はしていないようでした。

※リハビリ病院と老健では、介護の手厚さがどう違ったのか。こちらの記事で詳しくまとめています。→ 「病院だから大丈夫」と思い込んでいた私|老健とリハビリ病院との違い

洗濯物トラブルへの、すばやい対応

翌日、母が「洗濯物が足りない」と老健に電話をしていました。しばらくすると老健から折り返しがあり、洗濯物はすぐに見つかったとのこと。

母は「やっぱり間違えてる」とぼやいていましたが、私はこう伝えました。「電話してすぐに探してくれたんやな。なかなかそこまではしてくれんよ。保育園でも着替えの間違いはあるけど、忙しいけん“手が空いたらやろう”ってなりがち。それをすぐ対応して、すぐ電話までくれるって、とっても丁寧で親切なことなんよ。こんなとこ、なかなかないと思う」

母は、黙って聞いていました。

「まとめる人」の力|同じ人手不足でも、なぜ違うのか

私はずっと、こう考えていました。リハビリ病院で関わった看護師さんも理学療法士さんも、とてもいい人で、一生懸命仕事をしていた。それなのに、どうしてあんなことが起きたのだろう、と。

老健も、決して人手が多いわけではありません。職員さんはみんな忙しそうです。それでもリハビリ病院とは違い、活気があって、みんなが一生懸命やっている雰囲気がありました。看護師長さんが誰よりも明るく、活き活きと働いている——その姿を見て、「ここは看護師長さんがいいから、こんな雰囲気になるのかな」と思いました。

同じ介護の現場でも、それをまとめる人しだいで、こんなにも変わるのだと感じた瞬間でした。

2日間の面会で、不安が安心に変わった

正直に言うと、私自身も施設での父の生活に不安がありました。リハビリ病院で介護の実態を目の当たりにしていたからです。

でも、実際に足を運んで父の様子を見て、看護師長さんやケアマネさん、相談員さんの話を聞くうちに、「ここは大丈夫そうだな」「いい施設を見つけられてよかった」と、少しずつ安心へと変わっていきました。施設にマイナスなイメージを持っていた私たちがそう思えるほど、この老健は誠意ある対応をしてくれたのです。

それでも退所を決めている母|家族と老健の連携

でも、母は違いました。2週間後のカンファレンスで退所することを、心に決めているようでした。すでに地域包括支援センターに電話をして、新しいケアマネさんも探し始めていました。

私たち兄弟は老健にも、「母が退所させようとしている」ことを伝え、まだ父の生活が自立していないので、母が言っても受け入れないでほしいとお願いしました。老健も「今はまだ在宅は難しい」という考えでした。

どうすれば母を納得させられるのか——私たちは兄弟と老健で相談しながら、母への対応を考えていく日々が始まりました。

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