父が平行棒を歩いた日|リハビリ病院で考えた『本当の幸せ』とは

リハビリ病院

母の退院騒動で、予定外の帰省をすることになりました(この経緯は以前の記事に書いています)。思いがけず、1ヶ月ぶりに父に会えることになったのです。

そこで見たのは、ベッドから起き上がることもできなかった父が、車椅子から立ち上がり、平行棒を歩く姿でした。

嬉しさと同時に、リハビリをする父のそばで泣いていたおじいちゃんの姿が、ずっと心に残っています。この記事は、父の成長と「家族に会える幸せ」について考えた1日の記録です。

1ヶ月ぶりの面会|起きて過ごす父の姿

病院に着くと、父は車椅子に座っていました。1ヶ月前はベッドに寝たきりだった父が、日中起きて過ごせるようになっている──それだけで嬉しくなりました。

これまで父がリハビリをする様子を見たことがなかった私がその話をすると、理学療法士さんが、なんと帰省最終日の面会時間にリハビリを合わせてくれることになったのです。

平行棒を歩く父に、家族で大喜び

帰省最終日。面会に行くと、ナースステーション前の食堂で、父が理学療法士さんと平行棒を歩こうとしていました。

これまでの父は、ベッドから一人で起き上がることもできず、車椅子への移乗も職員さん2人がかりの全介助でした。それなのに、父は車椅子からスッと立ち上がり、平行棒を持ったのです。

「こんなにスムーズに立てるんだ」と驚き、「お父さん、すごいやん!」と大喜び。母も駆けつけ、みんな笑顔で父を見守りました。父は3メートルほどの平行棒を、理学療法士さんの補助のもとで歩ききり、椅子に座ることができました。

泣いていたおじいちゃん|気づいた「家族に会える幸せ」

リハビリを終え、水分をとる父。母はいつものように父の足をマッサージしています。私が理学療法士さんと話していた時、さっき隣でリハビリをしていたおじいちゃんが泣いていることに気づきました。担当の理学療法士さんが「どうしたの?勝手に涙が出てくるの?大丈夫?」と明るく励ましていました。

父の歩く姿を見ることができ、面会禁止の1週間に向けて、母の代わりの水分補給や声かけのお願いもできました。年度末で仕事が忙しい時期でしたが、無理をしてでも帰省してよかったと思いました。

そんな中、ふと、泣いていたおじいちゃんのことを思い出しました。あのおじいちゃんの隣で、父はリハビリをしていました。母と私に「すごいね」と励まされ、笑顔に包まれている父。母は毎日面会に来て足をマッサージし、この3日間は私が、その前は弟が付き添っていました。

「お父さん、幸せだな」と思うと同時に、おじいちゃんは私たち家族の様子を見て、家族に会いたくなったのかもしれないと思いました。

本当のことは分かりません。でも、誰もが「早く家に帰りたい」「家族に会いたい」という気持ちは同じはずです。この病院は職員さんの人数が少なく、利用者さんは一人でじっと座っているか、ベッドで寝ていることが多いように感じました。

父にとっての「幸せ」とは何か

母は「絶対に在宅介護をする」と言い張ります。私は「お父さんにとっての幸せは何だろう」と考えるようになりました。

母一人での介護では、父が怪我や病気で再び救急搬送される可能性があります。それでも、家に帰ることが父にとっての幸せなのか。それとも、看護師さんや理学療法士さんの力を借りながら、もう少し自立した状態になってから家に帰る方が、父にとっての幸せなのか。

どれだけ考えても、私には「これだ」という答えは見つかりませんでした。

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