ある日曜日、父が入院するリハビリ病院の院長先生から、突然電話がかかってきました。
認知症検査の提案。そして、「電話を控えてほしい」という一言。家族として精一杯配慮していたつもりだったのに──。
離れた場所から心配する娘と、毎日面会に通う母。それぞれが感じた病院への不信感と、院長先生との会話のすれ違いを振り返ります。
突然かかってきた院長からの電話|認知症検査の提案
電話は院長先生からでした。今の父の様子を教えてくれて、「父の様子を見ていると認知症の症状が見られるから、脳神経外科で検査をさせてほしい」ということでした。
そしてその後に、こう言われたのです。
「心配なのは分かるけど、現場は職員が少なく、電話対応をしていると業務に支障が出るので電話はなるべく控えてほしい」
配慮して電話していたのに「控えてほしい」と言われた
私はこれまで、何度か病院に電話をしたことがあります。母が病院への不信感や心配を抱えた時に、事実確認とお願いをするためです(濡れたベッドの件で看護師長さんに電話した時のことは、以前の記事に書いています)。
この病院は職員が少なく、対応が行き届かないこともある。だから要件はなるべく短く、内容はしっかり伝わるように、いつも話す内容を紙に書いてから電話していました。十分配慮しているつもりでした。
でも、忙しい時の電話対応は、やはり負担だったのだなと思いました。
母と私、見えている病院が違う
私は父が転院してから4回ほど面会に行きました。看護師さんはいつも忙しそうでしたが、声をかけると親切に父のことを教えてくれました。理学療法士さんも、みんな優しく丁寧な方たちでした。
でも、毎日面会に通う母は、私よりずっと多くの看護師さん、介護士さんと接しています。その中で嫌な思いをすることもありました。ベッドが濡れていてもすぐにシーツを替えてもらえない。父が尿意を伝えても「オムツにして」と言う人もいたそうです。
私が感じた病院のイメージと、母が感じたイメージが違う。父は病院で、本当はどんな対応をされているんだろう。私は不安になりました。
院長先生との会話のすれ違い|伝わらない家族の不安
院長先生は電話で、「失禁をしてもすぐにはシーツは替えられない。なるべくやるようにするが、職員も少ないので理解してほしい」と言いました。
でも、私はそのことで電話をしたのではありません。
「院長先生、私は失禁で濡れていることに対して電話したのではなく、ベッドの肩のところが濡れていて、原因は分からないと言われたので、再発防止に努めてほしいと看護師長さんにお伝えしたんです」
そう返すと、院長先生は「肩のところなら失禁ではないですね」と言い、「すみません」と何度も謝ってくれました。父が尿意を伝えても「オムツにして」と言われたことも伝えると、「それはないと思うのですが、そんなことがあったのなら…」と、また謝ってくれました。
でもその後も、母が面会に行った時の対応は変わらなかったそうです。
「あの病院ではやらない」母が検査を強く拒否した理由
私は、認知症の検査を受けること自体は、父への対応の仕方を考える上でも良いことだと思っていました。ところが母に伝えると、返ってきた答えは──
「あの病院の息がかかったところで検査なんかやらんよ。断りよ」
「そんな嘘の診断結果を書くような病院はないよ」と言いましたが、母が強く拒否するので、検査は今でなくてもいいかと思い、病院に電話してキャンセルしてもらいました。
キャンセルを母に伝えると、「何ていう名前の看護師に言ったん?ちゃんと名前を聞かんと、あそこは伝達なんかしてくれんよ」。翌日、キャンセルが間に合ったか、再度確認の電話をしました。
毎日面会に通う母は、病院に対してこれほどの不信感を持っていたのか。どれだけ嫌な思いを重ねてきたのだろうと思いました。
母の不信感が、大きな行動につながっていく
離れて暮らす私が電話で感じる病院と、毎日通う母が肌で感じる病院は、違うものでした。
そしてこの母の不信感は、3週間後、家族と病院を巻き込む大きな行動へとつながっていきます。その出来事については、また別の記事で書こうと思います。


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