父の入院でせん妄を初めて知った|家族がやりがちなNG面会と睡眠導入剤の疑問

介護日記

父に会いに行って、久しぶりに会う父を見て、私は最初言葉を失いました。

目が合わない。声をかけても視線がどこかへ漂っている。眠っているわけでもない、でも起きてもいない。あの状態が「せん妄」だと知ったのは、その後のことです。

何も知らなかった私は、良かれと思って、やってはいけない接し方をしていました。

この記事でわかること

  • せん妄とはどんな状態か(認知症との違い)
  • 家族がやりがちなNG面会(私の失敗談)
  • せん妄の人への正しい関わり方と、面会に持っていくと良いもの
  • 睡眠導入剤への不安を医師に聞いてわかったこと

同じ状況で戸惑っている方に、少しでも参考になれば嬉しいです。

面会をして気づいた異変|これがせん妄だった

父が敗血症で救急搬送され、集中治療室(ICU)に4日間。その後帯状疱疹になり、5日間は誰とも面会できない個室に入りました。母は命に関わる病気だと分からなかったようで、私が連絡をもらったのは入院から10日後のことでした。

帰省して父に会いに行くと、夕方でしたが眠っていました。声をかけると少し反応はあるものの、目が合わず、意識が朦朧としていました。久しぶりに会えた私は「沖縄からきたよ」と顔を覗き込んで話しかけ、「お父さん、起きて」と起こそうとしました。

せん妄とは?認知症との違いと主なサイン

後で調べて知ったのですが、この状態は「せん妄」といって、病気や環境の変化などがきっかけで脳が混乱し、意識がぼんやりする状態だそうです。入院した高齢者の約23%が発症したという報告もあり、高齢者の入院では決して珍しくありません。

主なサインはこのようなものです。

  • 目が合わない、ぼんやりしている
  • 話が噛み合わない
  • 夜間に突然興奮する
  • 昼夜逆転している
  • 点滴を抜こうとする

認知症と似ていますが、せん妄は「急に」始まり、原因が改善すれば回復する可能性がある点が違います。ゆっくり進行する認知症と違い、「先週まで普通に話していたのに」という変化はせん妄を疑うサインだそうです。父の場合も、敗血症の治療、ICU、誰にも会えない個室生活と、きっかけになりそうなことが重なっていました。

(参考:国立がん研究センター東病院「せん妄とは(患者さん・ご家族用)」

家族がやりがちなNG面会|私の失敗

せん妄の時にやってはいけないこと、知っていましたか?私は何も知らなかったので、顔を覗き込んだり無理に起こそうとしてしまいました。

  • 顔を覗き込む:正面から覗き込むだけでも脳に負担がかかり、本人は疲れてしまうそうです
  • 無理に起こそうとする:「お父さん、起きて」も本人にはきつい行動でした
  • 写真をたくさん持っていく:情報が多すぎて混乱させてしまうとのこと
  • 混乱した言動を否定する・叱る:本人はさらに不安になり、症状が悪化することがあります

見ていないようでも、本人は感じています。家族の「会いたい」「元気になってほしい」という気持ちからの行動が、本人の負担になってしまう。これがせん妄の面会の難しいところだと思います。

(参考:日本老年医学会「高齢者せん妄のケア」

せん妄の時、こんな関わり方がいい!

家に帰って調べてから、翌日の面会で意識したのはこの3つです。

  1. 顔を覗き込まず、視界にそっと入る:見えていないようでも感じているので、視界にちょっと入るだけでいい
  2. ゆっくり、同じことを繰り返し話しかける:「今、病院だよ」「今はお昼だよ」など、時間や場所の感覚を取り戻せる声かけ
  3. 小さな反応も「伝わっている」と受け止める:瞼が動く、手が動く。それだけで本人には届いています

面会に持っていくと良いもの

  • 大きめの時計:昼か夜かがわかると混乱が減る
  • 家族の写真(1〜3枚):多すぎると混乱することがある
  • メガネ・補聴器:見えにくさ・聞こえにくさが重なるとさらに混乱しやすい
  • いつものタオル:触覚から安心感を与えられる
  • 名前を書いたメモ:「名前・病院名・今日の日付」を目に入る場所に

私は日めくりカレンダーに孫の写真を貼って、父の部屋のテーブルに置きました。看護師さんとの話題にもなり、部屋が明るい雰囲気になりました。……が、ある日父が写真を口に入れてしまい、危険なので持ち帰ることに。うまくいかないこともあります。それでも、関わり方を知っているのと知らないのとでは、面会は全く違うものになると実感しました。

なぜ睡眠導入剤を使うの?家族が抱いた不安と疑問

父はせん妄のため、夜になると動き回ったり落ち着かなくなることがあり、睡眠導入剤を使用していました。

ちょうどその頃、友人のお父さんが入院中に睡眠薬を飲まされて毎日ぼーっとしていた、という話を聞きました。友人が看護師に理由を聞くと「動いたら危ないから薬で眠らせている」と言われたそうです。父もぼーっとしていることが多かったので、「もしかして薬のせいでは」と心配になり、医師に直接聞いてみることにしました。

医師に直接聞いて分かった|睡眠導入剤の必要性

医師の説明は、「強い睡眠導入剤ではない」「せん妄の症状を落ち着かせて、安全に夜を過ごせるようにするための薬」「服用しないと夜に不安定になる」というものでした。

正直、目の前の父の状態が薬の影響なのか、せん妄そのものなのか、医学に詳しくない私には分かりませんでした。それでも心配だったので入院中に何度か確認しましたが、やはり必要とのことで、急性期病院にいる間はそのまま使用しました。

「早く睡眠導入剤がいらなくなればいいな」という気持ちは残りましたが、疑問をそのままにせず、納得できる説明を直接聞けたことが家族の安心につながったのは事実です。

まとめ|様子がおかしいと思ったら、まず医師に聞いてみて

せん妄は、高齢者が入院した時に起こりやすい症状です。もし面会に行って「様子がおかしい」と感じたら、慌てずに医師や看護師に確認してみてください。そして面会では、覗き込まない・無理に起こさない・否定しない。視界にそっと入って、ゆっくり同じことを話しかける。静かに寄り添うだけで、安心感を届けることができます。

父が敗血症で救急搬送される経緯はこちらに書いています。
「敗血症で救急搬送された高齢の父|治った後に待っていた『廃用症候群』と介護の始まり」

父のせん妄はその後も続きました。次の記事では、面会での声かけの仕方を変えたことで気づいた小さな変化について書いています。

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